階段を降りれる社会に。『人事の組み立て』の感想

感想

人事の組み立て ~脱日本型雇用のトリセツ~』を読了。

雇用ジャーナリストの海老原氏が、日本企業の人事制度の過去・現在・未来について、欧米・欧州との比較や近年流行りの”ジョブ型”に関する議論を交えて分析している本。
大学で人事マネジメントの講義を受けたのと、就活の参考になるかなと思って手にとってみました。

人事制度の基本から、「なぜ日本人の労働時間は海外諸国に比べて異常に長いのか(欧州のバリキャリ勢よりも年間200〜300時間長い)」「日本でストライキが起きない理由」といった誰もが気になるトピックを平易に説明してくれていて非常にタメになりました。

特に、
・やる気も給料も上がらないから家庭が円満な欧米 VS 誰もがキャリアアップのチャンスはあるがゆえにWLBが死ぬ日本
・(女性の働きやすさについて)時短勤務とキャリアアップはトレードオフであり、両立は幻想。女性の社会進出のためには男女で階段を登る覚悟・制度が必要だ。
・誰もが階段を上らなければいけない社会は窮屈であり、それゆえ脆弱でもある。キャリアの前半は日本型、後半は欧米型にすることで「階段から降りる」選択肢を設ける。
・キャリアのタイプは”OSとアプリ”によって類型立てられる。

ここらへんの議論は大変興味深く、講義と合わせて読むと理解が進んで良かったです。

人事制度は会社運営の基盤であり、社会に出ればみんな必ず関係してくることなのに(新卒採用・人員配置・異動、人事評価etc)意外と分からないままにしておく人も多いと思うので、こういった本で勉強しておくと今後のキャリアプラン設計にも活きてくるのではないでしょうか。

個人的な感想ですが、日本人が「階段から降りれるのはFIREした人だけ」と思いがちなのも、特殊な日本型の人事制度のせいもあるのかも知れませんね。

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