「あなたは、信じるものを見つけないといけない」『サラバ!』の感想

感想


サラバ!』を読了。

家庭崩壊した一家がそれぞれの「信じるもの(=価値観)」を見つけるまでの30年間の話。第152回直木賞受賞作。

Xの読書アカウントの「名刺代わりの10冊」に本作がよく挙げられているのを見かけるので、どんなもんかと読んでみました。

読み終わって真っ先に浮かんだ感想は、「これが自己分析の理想型なのかも知れん!」です。
回顧録形式で話が進んでいくんですが、「自分が大切にしていた・しているものはなにか」「何を失い、何を得たのか」、過去の出来事を客観視しつつも当時の自分が抱いていた感情を分析・再解釈し、「信じるもの」を確認する作業は、まさに就活生がみんなやる自己分析以外のなにものでもないんですよ。


ここまで緻密で高度なレベルでやってる人はそうそういないでしょうけど、ニーチェの「なぜ生きるかを知っている者は、どのように生きることにも耐える」という言葉にもあるとおり、これからどう生きるのかを考えるためには価値観が明確になっていない始まらないですからね。本作は、この事実を、崩壊した家族が各々の人生をやり直していく姿を通じて描いていて、世界の不条理さと優しさを両方堪能できるのが素晴らしい。
これを「名刺代わりの10冊」に入れたくなる気持ちもわかるなぁ。

就活中だから特別刺さったということもありそうですが、今後人生を振り返るときにもう一度読み直したいですね。

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