『おっぱいの進化史』を読了。
動物のおっぱいを研究している学者が、哺乳類の進化史をおっぱいの観点から紐解く本。
図書館でジャケ借り。
ポップな絵の表紙を見て「おもしろ生物本なんだろうなー」と思ったら、中身は一般書とは程遠い学術書で腰抜かしました。
なにせ、
κ-カゼインには「カゼイノグリコマクロペプチド」という名前がついている部分があって、ペプチドに糖が結合したようなつくりをしています。そのためにκ-カゼインは水に溶けることができるのです。またカゼイノグリコマクロペプチドには「シアル酸」という単糖が結合していますが、このシアル酸は肝臓で作られ、脳に大量に含まれています。
並木美砂子, 浦島匡 , & 福田健二. (2017). おっぱいの進化史.
みたいな説明だらけなので、化学の教養が1ミリもない私は「カタカナ多くて怖い…」ってなりました。
あんまり詳しく理解はできていないんですが、なんとなく勉強になったポイントを書いておきます。
- おっぱいは赤ちゃんに必要なものが全部入った完全食であり、免疫を獲得するための重要な役割を果たしている。
- 動物、成長段階ごとにおっぱいの成分は変わる。
- おっぱいの研究は代替乳の開発に役立てられている。
- 人間の赤ちゃんは、母乳ではなく乳輪のぼつぼつした部分(モントゴメリー腺)から分泌されるフェロモンに反応する。
- おっぱいの神様を祀り、おっぱいの絵馬が並ぶ神社が日本各所に存在する。
- 人間は離乳後も他の動物のおっぱいを飲み、さらには加工して食べたりする変わった生物である。
- 通常、生物は成長にしたがっておっぱいに含まれる乳糖を分解する機能が衰えていくので、離乳後に乳糖不耐症になるのは自然な流れである。現代の成人の多くも実は乳糖不耐症だが、幼いことから乳製品を摂り続けているため多少耐性がついているだけである。
- 赤ちゃんが生まれて始めて出したうんちを胎便(メコニウム)、それ以降のものを大便という。
- 実は哺乳類のオスもおっぱい出すためのホルモンを持っている。捕虜生活で栄養失調になった男性が臓器不全でホルモンバランスが崩れた結果、おっぱいが出た事例が報告されている。
良くも悪くも「学者が書いた文章」感が強いので、軽い気持ちで読み始めると途中で挫折してしまうかも。
栄養学を専攻していたとか、獣医を目指している人、動物の飼育に興味がある人には刺さるのかな?
化学をちゃんと勉強してから再チャレンジしてみようと思います。
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