『元彼の遺言状』を読了。
御曹司(元彼)の「自分を殺した犯人に財産を譲る」という遺言状が世間に公表され、敏腕弁護士が依頼人を犯人に仕立てるべく奔走する話。
第19回このミス大賞受賞作。
弁護士はサイコパスの多い職業ランキングの上位に並ぶ職業ですが、本作は主人公のサイコパス特性(プレッシャーに強い、冷静、自信に満ちている、大胆)が才能として存分に発揮されていて痛快なだけでなく、能力の高さと意地の悪さが相まって不器用ムーブをかましてしまう主人公の”人間らしさ”も描かれていて面白かったです。
前半の贈与論のくだりに期待させられた分「もう少し贈与論と絡めてほしかったなぁ」と思うところはあったものの、法律という難しいテーマで読者がギリギリ分かる難易度でまとめられていることは素直にすごいと思いました。
意外と女性が主人公のミステリ小説を通ってこなかったので、女性同士の掛け合いの解像度の高さも新鮮でした。
ちなみに、主人公の「よいサイコパス特性」について深掘りしたしたい方は、『サイコパスの真実』が参考になると思うので読んでみるといいかもしれません。
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